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No.69

先ほどの妄想の続き?
勢い任せの走り書き、駄文

 
◇それは恋というにはあまりにも


 ノックもなく突然扉が開きヤマトは読んでいた本から顔を上げた。
 一瞬驚いた表情を見せたが部屋に入ってきたのがこの部屋の主だとわかり、ヤマトは柔らかく微笑んだ。

「エース、おかえり」
「……」

 対してエースは無表情で、ベッドに正座し本を読んでいるヤマトの元へ大股で近づくと無言でヤマトの太ももに顔を埋めた。

「⁈」

 突然のエースの行動にヤマトは驚き体を硬直させ、しかしすぐにニマニマとした笑顔になり、無防備なエースのうなじ辺りをそっと手のひらで撫で上げた。
 そのまま耳元、頬と指でなぞりながらエースの表情を伺う。
 エースから自分に体を寄せてくることなど滅多にない。これはどういう心境の変化だろうか?今日はこのまま一緒に寝てくれるつもりでは?甘えてきたことを揶揄っても大丈夫だろうか?
 本をベッドの隅にそっと置くと、ヤマトはエースの耳元に触れるか触れないか程度に唇を寄せた。
 そこでエースの様子を何となく察して、ヤマトはゆっくりと体を起こした。

「どうした?エース」
「……」

 返事は返ってこない。
 エースはヤマトの膝に顔を突っ伏したまま微動だにせず、時折ため息のような小さな息を漏らすばかり。
 何かがあったのだろう。
 でもそれをエースがヤマトに話すことはない。
 信用されていないようで寂しくもあるが、それでも自分の側にきてくれた。
 何かがあって、その心の拠り所に自分を選んでくれたのだ。
 こんな弱った姿をエースは誰にも見せたことはないだろう。

「(白吉っちゃんだって、エースの兄弟たちだって知らないエースを、僕だけが知ってる)」

 ヤマトはエースのクセのある黒髪を撫でながら、口の端に笑みを浮かべた。
 それは宝物を自分だけの檻の中に閉じ込めた海賊の笑みに似ていた。

畳む

SS